精進料理
- 和歌山県高野山
- グルメ | 食事様式・文化
標高約千メートルの山上に開かれた天空の宗教都市、和歌山県高野山において、社寺の祭礼や日々の修行の一環として脈々と受け継がれてきながら、洗練されたおもてなしの形へと進化した伝統的な菜食料理が「精進料理」です。仏教の戒律に基づき、肉や魚、そして五葷(ごくん)と呼ばれるネギやニンニクなどの刺激の強い野菜…
標高約千メートルの山上に開かれた天空の宗教都市、和歌山県高野山において、社寺の祭礼や日々の修行の一環として脈々と受け継がれてきながら、洗練されたおもてなしの形へと進化した伝統的な菜食料理が「精進料理」です。仏教の戒律に基づき、肉や魚、そして五葷(ごくん)と呼ばれるネギやニンニクなどの刺激の強い野菜を一切使わずに仕立てられます。
料理は、高野山の清らかな湧水と、山の恵みである山菜、野草、そして大豆加工品を主役に据え、素材が持つ本来の風味を極限まで引き出す点に特徴があります。特に、白ゴマを丹念にすり潰して吉野葛で練り上げた、独自の粘り気と濃厚なコクを持つ「高野豆腐(凍み豆腐)」や「生麩」、そして純白の「ごま豆腐」は、お膳に欠かせない重要な逸品です。余計な味付けを削ぎ落とした薄味の仕立てでありながら、昆布や椎茸から引いた贅沢なお出汁を吸わせることで、力強い満足感が完成します。
朱塗りの器にお膳が整えられて目の前に運ばれると、お出汁の品のある静かな香りと、山椒や季節の葉が運ぶ清々しい薫りが湯気とともにふんわりと漂います。塗りの箸でごま豆腐をそっと切り分けて口に含むと、ひんやりとした緻密な密度のあと、体温でねっとりと溶けていく絹のような滑らかな肌触りに包まれます。
発祥
平安時代、弘法大師が仏教の教えに基づき、肉や魚を一切使わない食生活が始まり、「焼く・煮る・揚げる・蒸す・生」の5つの調理法を用い、彩りや栄養バランスを整える独自の形式が誕生したと言われています。
