ほうとう

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甲斐の国を治めた武田信玄が陣中食として広めたとも伝わる「ほうとう」は、平打ちの太麺とたっぷりの地場野菜を、味噌仕立ての出汁でじっくりと煮込む、山梨県を代表する素朴で力強い郷土料理です。 この一皿の核心は、塩を一切使わずに小麦粉と水だけで打った幅広の生麺を、下茹でせずに「そのまま鍋に入れて煮込む」…

甲斐の国を治めた武田信玄が陣中食として広めたとも伝わる「ほうとう」は、平打ちの太麺とたっぷりの地場野菜を、味噌仕立ての出汁でじっくりと煮込む、山梨県を代表する素朴で力強い郷土料理です。

この一皿の核心は、塩を一切使わずに小麦粉と水だけで打った幅広の生麺を、下茹でせずに「そのまま鍋に入れて煮込む」独特の調理法にあります。生麺に付いた打ち粉が汁に溶け出すことで、お鍋全体にぽってりとした心地よいとろみがつき、熱をしっかりと閉じ込めて最後の一口まで冷めない状態を保ちます。

出汁のベースとなるのは、地元の素朴な合わせ味噌や赤味噌です。そこに、ほうとうには絶対に欠かせない甘みの強いカボチャをはじめ、大根、人参、里芋、白菜、シイタケといった大ぶりの根菜やキノコ、山菜などが贅沢に投入されます。

お椀に盛られた熱々の一杯から太い麺を手繰り寄せれば、とろみのある汁と溶け出したカボチャのペーストが麺の表面にどろりと絡みつきます。箸からずっしりとした重みを感じつつ一気に啜れば、煮込み麺ならではの優しく柔らかな質感の中に、小麦のしっかりとした密度とモチモチとした弾力が残っています。