紀州へら竿
- 和歌山県橋本市、九度山町
- 伝統工芸品 | 木工品・竹工品
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紀州へら竿は明治時代後期、ヘラブナ釣りの隆盛とともに、良質な竹材に恵まれた高野山の麓で独自の進化を遂げ、今や全国の竹製へら竿の大部分を生産する一大産地となりました。カーボン製の竿には決して真似できない、魚をかけた瞬間に手元へ伝わる「官能的なまでの竹の粘り」と、水面に美しい弧を描き出す「芸術品のよう…
紀州へら竿は明治時代後期、ヘラブナ釣りの隆盛とともに、良質な竹材に恵まれた高野山の麓で独自の進化を遂げ、今や全国の竹製へら竿の大部分を生産する一大産地となりました。カーボン製の竿には決して真似できない、魚をかけた瞬間に手元へ伝わる「官能的なまでの竹の粘り」と、水面に美しい弧を描き出す「芸術品のような工芸美」があります。
性能と美しさは、数万本の竹から理想の数本を厳選する「生地組み」と、火の熱で竹のクセを抜く「火入れ」の高度な技術によって生み出されます。一本の竿には、根元に強靭なマダケ、中間にしなやかなコウヤダケ、穂先に繊細なヤダケと、性質の異なる天然竹を組み合わせます。職人は数年乾燥させた竹を炭火で熱し、手と目の感覚だけでミクロン単位の歪みを真っ直ぐに矯正。さらに、それらを精巧に継ぎ合わせ、漆を幾度も塗り重ねることで、驚異的な反発力と耐久性を生み出すのです。
釣り人の手に馴染むよう綿糸や藤で装飾された「握り」は、使い込むほどに持ち手の形に寄り添い、漆の艶を深めていきます。単なる道具を超越し、水辺の時間と釣り師の美学を満たしてくれます。
