江戸からかみ

  • 東京都文京区、台東区
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町人文化が華開いた江戸時代、武家屋敷や豪商の邸宅の襖を彩る障壁画として発展を遂げた「江戸からかみ」。幾何学模様や自然の営みを大胆にデフォルメした、シンプルで洒落た「粋」の美学が貫かれています。 美しさを決定づけるのが、天然の鉱物である「雲母」や泥絵の具を用いた、独自の木版刷り技術です。職人は、桜…

町人文化が華開いた江戸時代、武家屋敷や豪商の邸宅の襖を彩る障壁画として発展を遂げた「江戸からかみ」。幾何学模様や自然の営みを大胆にデフォルメした、シンプルで洒落た「粋」の美学が貫かれています。

美しさを決定づけるのが、天然の鉱物である「雲母」や泥絵の具を用いた、独自の木版刷り技術です。職人は、桜などの原木に細密な絵柄を彫り込んだ「経師型」と呼ばれる大判の木版に絵の具をのせ、その上に手漉き和紙を重ねます。そして、バレンなどの道具を使うことなく、自らの「手の平」だけを滑らせて、紙の裏側から均一に圧力をかけて刷り上げていきます。手のひらの体温と絶妙な力加減が絵の具を紙の繊維の奥まで染み込ませ、印刷機では決して出せない、かすれや温かみのある輪郭を生み出します。

光の当たる角度によって、鈍い金属光沢を放つ雲母の文様が浮き上がっては消える、その一瞬の揺らぎこそが最大の魅力です。昼の自然光、夕暮れの斜光、そして夜の照明。時間とともに表情を変える壁紙は、限られた室内空間に無限の奥行きと季節の移ろいをもたらします。