江戸表具
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江戸表具は、武家文化や町人の美意識、そして江戸の風土が育てた独自の空間芸術です。「和紙」の持つ素朴な風合いを前面に出し、簡素で引き締まった、いわゆる「渋み」や「粋」を表現することに重きを置いています。
江戸表具の美しさと機能性を根底で支えるのが、「下張り」と呼ばれる独自の裏打ち技術です。職人は、…
江戸表具は、武家文化や町人の美意識、そして江戸の風土が育てた独自の空間芸術です。「和紙」の持つ素朴な風合いを前面に出し、簡素で引き締まった、いわゆる「渋み」や「粋」を表現することに重きを置いています。
江戸表具の美しさと機能性を根底で支えるのが、「下張り」と呼ばれる独自の裏打ち技術です。職人は、手漉き和紙に植物性の生麩糊を薄く均一に引き、本紙(書画)の裏に何層にも貼り重ねていきます。このとき、ただ補強するだけでなく、わざと糊の水分量をぎりぎりまで抑え、ハケで何度も叩くように密着させることで、経年変化によるたるみや歪みを完全に防ぎます。これにより、まるで漆喰の壁のように平滑で、驚くほど強固な下地が作り出されます。
特に屏風や襖の製作では、骨組みとなる木枠が季節の湿度変化で歪まないよう、紙の「引き(伸縮力)」を計算し尽くした和紙の多層構造が施されています。このミリ単位の狂いをも見逃さない指先の勘が、何十年経っても歪むことなく自立し、かつ滑らかに開閉できる極上の調度品を生み出すのです。
