備前焼
- 岡山県備前市周辺
- 伝統工芸品 | 陶磁器
1000年近くの歴史を繋いできた備前焼は、日本六古窯の中でも最もストイックに「土と炎の力」だけで勝負を続ける、極限の引き算の陶器です。
個性を形づくるのは、伊部の地層から採掘され、何年もの時間をかけて寝かされた「比定粉黒土」と呼ばれる粘土です。鉄分を豊富に含み、非常に緻密なこの土を、職人たちは約…
1000年近くの歴史を繋いできた備前焼は、日本六古窯の中でも最もストイックに「土と炎の力」だけで勝負を続ける、極限の引き算の陶器です。
個性を形づくるのは、伊部の地層から採掘され、何年もの時間をかけて寝かされた「比定粉黒土」と呼ばれる粘土です。鉄分を豊富に含み、非常に緻密なこの土を、職人たちは約10日から2週間もの間、赤松の薪を使った登り窯の炎でじっくりと焼き締めていきます。
長い焼成のなかで、器の表面には二つとない炎の芸術が刻まれます。薪の灰が超高温で溶けて流れるエメラルドグリーンの「自然釉」、藁を巻き付けて焼くことで緋色の線模様が走る「緋襷」、そして灰に埋もれることで独特の銀発色を見せる「胡麻」や「焦げ」。これらはすべて、窯の内部というブラックボックスのなかで起きる、大地の成分と炎の化学反応の痕跡であり、職人でさえ完璧にコントロールできない偶然の「風景」なのです。一切の光沢を持たない鈍い土肌は、現代のミニマルなインテリアや食卓において、食材の瑞々しさをこれ以上ないほど立体的に浮かび上がらせます。
