鎌倉彫
- 神奈川県鎌倉市周辺
- 伝統工芸品 | 漆器
鎌倉彫は、鎌倉時代に宋(中国)から伝来した堆朱などの彫刻漆器に影響を受け、仏師たちが仏具や茶道具を手がけたことから始まったとされる漆器です。武家文化の興隆とともに育まれ、明治時代の神仏分離による危機を乗り越えながら、生活調度品へと用途を変えて伝承されてきました。
特徴は、木彫りの力強い立体感と、…
鎌倉彫は、鎌倉時代に宋(中国)から伝来した堆朱などの彫刻漆器に影響を受け、仏師たちが仏具や茶道具を手がけたことから始まったとされる漆器です。武家文化の興隆とともに育まれ、明治時代の神仏分離による危機を乗り越えながら、生活調度品へと用途を変えて伝承されてきました。
特徴は、木彫りの力強い立体感と、漆の塗膜が織りなす独特の陰影にあります。木地には主に加工しやすく歪みの少ないカツラやギボウシの木が使われ、その表面に彫刻刀で文様を彫り込んでいきます。文様は伝統的な牡丹や梅、唐草といった植物のほか、現代的な幾何学模様など多岐にわたり、刀の跡をあえて残す「薬研彫り」や、背景を細かく叩いて凹凸をつける「石目彫り」などの技法によって、豊かな質感が表現されます。
塗り工程では、彫刻の立体感を損なわないよう、下地を薄く施した上で、主に朱や黒の漆が塗り重ねられます。仕上げに「マコモの粉」と呼ばれる植物の胞子を振りかけ、それを研ぎ出すことで、彫りの深い部分に黒ずんだ渋みが残り、浮き出た部分に鮮やかな漆の色が露出する独自の工法が採られます。これにより、新品の段階から長年使い込んだような独特の古美術的な風格が生まれます。
