飛騨春慶
- 岐阜県高山市、飛騨市
- 伝統工芸品 | 漆器
準備中
飛騨地方で江戸時代初期から作られている飛騨春慶。漆器の多くが赤や黒の漆で木肌を完全に覆い隠すのに対し、この工芸品は「木目の美しさをそのまま見せる」という一点にすべての職人技が注ぎ込まれています。その佇まいは、まるで森の木々が持つ清涼な空気をそのまま器に閉じ込めたかのような、独特の軽やかさと透明感に…
飛騨地方で江戸時代初期から作られている飛騨春慶。漆器の多くが赤や黒の漆で木肌を完全に覆い隠すのに対し、この工芸品は「木目の美しさをそのまま見せる」という一点にすべての職人技が注ぎ込まれています。その佇まいは、まるで森の木々が持つ清涼な空気をそのまま器に閉じ込めたかのような、独特の軽やかさと透明感に満ちています。
特色は、職人の間で「春慶漆」と呼ばれる、黄色く透明に精製された特殊な天然漆にあります。下地を一切施さず、木地に直接この透明な漆を塗り重ねることで、木材が持つ本来の年輪や繊細な木目が、黄金色の薄い膜の向こう側にくっきりと浮かび上がります。
この透明感を支えるのが、飛騨の豊かな山林から切り出されるヒノキやサワラ、トチノキといった良質な天然木と、それを狂いなく加工する「木地師」の技です。小判型の曲げわっぱや角盆など、直線と曲線を組み合わせた端正な造形は、カンナや独自の曲げ技術によって極限まで滑らかに仕上げられます。木地に少しの傷や毛羽立ちがあっても漆を通して目立ってしまうため、塗りの工程以上に木地の精度が仕上がりを決定づけます。
